• TOP
  • BLOG
  • TECHNOLOGY
  • 海外のモバイル決済の現状はどうなっているのか?

海外のモバイル決済の現状はどうなっているのか?

モバイル決済についてのニュースは、新しいテクノロジーに関する華々しい話が多いですよね。でも、実際にサービスが利用されているのか、という話は中々見られません。実際のところ、モバイル決済はどうなっているのでしょうか?

ベイン・アンド・カンパニーがモバイル決済についてのリサーチ「Mobile payments: Finally ready to take off?」を公開しました。これはアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スペインのモバイル決済事情を調査したもので、消費者の動向や望んでいることが詳しく書かれています。

モバイル決済: 準備はできた?

モバイル決済を使う消費者について

モバイル決済の認知と利用

調査対象の各国とも50%を超えており、特にフランスは80%以上が知っていると答えています。一方で、利用したことがあるユーザーは各国とも20〜30%で推移しており、特にドイツは認知度に対して利用者が少なく消極的なユーザーが目立っています。

利用する理由

モバイル決済を利用する最大の理由として、利便性があげられています。

LifeLockの提供するアプリは、全てのカードを一箇所で管理できるようにし、自由に選択して決済を行えるようになっています。マクドナルドもアプリ内で決済を先に済ませておくことで、来店したときの待ち時間を減らせるようにしています。他にも、決済を行ったら自動的に家計簿を付けられるという便利さを持ったアプリは多数あります。

もうひとつの利用理由は、報酬です。

利用するとクーポンがもらえたりスタンプが貯まるといった見返りは、ユーザーが利用する動機として最も大きなものです。例えば、スターバックスは「My Starbucks Rewardsプログラム」でモバイル決済の利用を増やしており、2013年第1四半期にはユーザーを140万人増やしました。

また、目新しいからとりあえず使ってみるという、いわゆるアーリーアダプター層は一定数おり、モバイル決済利用者の一角を占めています。

利用しない理由

自分の決済情報を登録する上で、最もセンシティブになるところはセキュリティとプライバシーです。フランスやスペインではクレジットカード決済はIDコードと物理チップといった組み合わせによる二段認証プロセスによるセキュリティで守られています(そして、多くの国もそうでしょう)。モバイル決済にも同様の、あるいは不安を取り除くにはそれ以上のセキュリティが必要になります。

セキュリティへの不安を表すものとして、消費者は銀行がデジタルウォレットを提供することを望んでいるという結果が出ています。スタートアップやテクノロジー企業が提供するよりも、銀行の方が高い信頼感があるためです。しかし、銀行があまり動きを起こさないため、機会を逃している可能性があるとベイン・アンド・カンパニーは指摘しました。

モバイル決済利用者は若く、多くのお金を消費する

モバイル決済を利用する人の年齢は各国ともに30代前半と若く、スペインを除いて収入が多くなっています。いわゆるアーリーアダプターであり、デジタルチャネルでの出費を積極的に行う傾向にあります。

このリサーチでは、いち早くモバイル決済を導入した企業は、アーリーアダプターからの関心とロイヤリティを得られるメリットがあるとしています。

店舗側について

新たな負担が生じる

モバイル決済を導入するためには、専用の機器を導入しなければならず、店舗側に新たな負担が生じます。少なくとも現在は店舗でモバイル決済を利用する人は少なく、一見メリットを見出しにくいため、ベンダー側は何らかの策を講じる必要があります。例えば、WeChatでモバイル決済を行うための機器をテンセントは無料で提供しています。

他にもスターバックスのような特典を行うためには、ITシステムの刷新を行わなければいけない場合もあります。長年使ったシステムを手放すに足る、十分なメリットを提示する必要があります。

オムニチャネル体験となりうる

モバイル決済を導入することで、消費者に対して店舗とデジタルを超えたショッピングが提供できる、いわゆるオムニチャネル体験が実現できるようになります。あらゆる間口から消費者のショッピングを支援することで、ロイヤリティを得られます。

また、デジタルデータとして顧客のデータを管理できるようになるため、年齢や地域といったセグメントごとに最適なオファーが可能になるため、満足度を高めることにも繋がります。

最後に

このリサーチは、モバイル決済が確実にクリティカル・マスへ到達するかは判断できないとした上で、銀行や店舗オーナーに対する4つの問いかけで締められています。

  • 価値はどこからもたらされるか知っているか?
  • 最大の効果を得るために、どのパートナーを選ぶべきか?
  • 行動しないことによって起こるリスクは?
  • モバイル決済はマーケティングプランに組み込まれているか?

日本の店舗でモバイル決済を実現している企業は、今のところ多くありません。特に大きなところで言えば、ユニクロがSquareを導入したというのがあげられますが、追随する動きは中々見られないようです。

しかしPayPalを始めとするオンライン決済企業はテクノロジーの進化を進めており、日本においてもモバイル決済市場は成長中であるため、同じ問いかけをされる日は遠くないのかもしれませんね。

(Photo: credit by Kaiyan)

OUR SERVICE

Fan Commerce

ファンコマース

ファンとのダイレクトなコミュニケーションを実現して「感動体験」をビジネスに結びつけます。

Digital Marketing

デジタルマーケティング

未来を創造する価値ある「顧客体験」を実現する仕組みづくりを提案。