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これからは普通の人達が重要なんです。『ウェブはグループで進化する』 ―タチヨミ その3

今回のタチヨミは、ポール・アダムスというGoogle+のサークル機能を開発し、その後Facebookへ移籍した現役ピカピカコテコテの開発者が書いた「ウェブはグループで進化する」を取り上げました。実はこのアダムス氏はブログでGoogleのことを公然と批判したり、2011年7月に出版される予定だった本が差し止められるなど大変な騒動を巻き起こした人であります。そんなアダムス氏がFacebook移籍後に書いたのが今回タチヨミする本書です。アダムス氏の本音は吐露されているのでしょうか…さっそくタチヨミ。

■今回のタチヨミ

『ウェブはグループで進化する』

ポール・アダムス著

単行本: 288ページ

出版社:日経BP社(2012/7/26)

定価:1,600円(本体)+消費税

■書いてるの誰?

ポール・アダムスはプロダクトデザインおよびユーザーエクスペリエンスデザインの専門家。工業デザイナーとしてダイソンなどのメーカーで勤務した後にユーザーエクスペリエンスのコンサルタントを経てGoogleに入社。GmailやYouTubeのサービスを担当し、Google+のサークル機能の開発に携わった。2011年1月にFacebookに移籍し、現在はブランドデザイン部門のグローバル責任者を務める。

■この本が言いたいコト

ソーシャルウェブは一時的な流行ではない。それは後戻りできない変化なのだ。だから、ビジネスを人中心型へと移行することが必要不可欠になる。

■この本のヤマ場

「ソーシャルネットワークの構造が影響力のあり方を左右する」という章より

私たちは誰とつながるかを決めることができる。しかしその相手が誰とつながるのか、彼らがつながった人々が誰とつながるのか、彼らがつながった人々につながった人々が誰につながるのかを決めることはできない。しかし私たちは、そんな遠く離れたつながりからも影響を受けることがある。

多くの研究の結果、私たちは他人と「6次の隔たり」でつながっているが、影響力については3次まで、つまりつながりを3回たどった地点にいる人物までであることが明らかになっている。言い換えれば、友人の友人の友人までが私たちに影響を与えるわけだ。

…この他にも「インフルエンサーはいない」とか、今までのマーケティングの常識に一本背負いしているところが多々あって面白いです。

■押さえておきたいこのフレーズ

・ソーシャルネットワークは目新しいものではなくソーシャルウェブは一時的な流行ではない

・情報共有は目的達成の手段

・ソーシャルネットワークは独立した少グループで構成されており、グループをつなぐ役割を果たしているのは普通の人々

・親しい人々から強い影響を受ける

・情報の拡散においては、個人の性質よりもネットワーク構造のほうが重要になる

・人は他人を観察することで、どのように振る舞うべきかを理解する

・私たちが下す決断の大部分は、無意識と感情をつかさどる脳によって行われる

・人は新しいことを避けるようにできている(特に自分の信念と反する場合)

・人は友人から情報を得ることがますます増えている

・新しい知識体系が求められるようになる

・「独立した小規模な友人グループ」に焦点を当てよう

■読んだほうがイイ人

・企業のマーケティング宣伝担当者

・ソーシャルメディアに関するビジネスをしている人たち全般

・Facebookおよびソーシャルメディア研究者

■タチヨミてヒトコト

ポール・アダムス氏はプロダクトデザインから身を起こされた方なので、ご自身の理論をビジュアル化(見える化)する才能は流石なものがあります。各ページに論旨に合わせた図解があるのですが、それを見るだけでもこの本の価値があります。

たとえばこんな感じ…

そして、こんな感じ。

特に現在はFacebookに所属しているので、アダムス氏のソーシャルグラフに関する考え方はそのままFacebookが考えるソーシャルグラフであると解釈しても良いと思います。つまり、この本はFacebookが考えるソーシャルグラフが図解されているのです。

個人的なお話で恐縮ですが、小職(私)は友人が少なく、付き合いもあまりよくなく、みんなが喜ぶようなサプライズごとも嫌いです。マーケティングや自己啓発関連の本の括りでは、ほとんどダメ人間の範疇に入るのですが、アダムス氏はこの本で「どんな人でも本当に親しい人は4~5人だけ」、「みんなに人気のインフルエンサーを追いかけてもムダ」、「普通の人が大切な影響を与えるのだ」というような西欧人とは思えない仏教徒のようなことを書いています。

そうかぁ、ソーシャルメディアのいま時代は、今の自分のままでいいんだぁ…と都合のよい解釈をしていいものでしょうか…きっと、そうではなくこの本は、ビジネスも自分も自らの本質を追求しろ、と叱咤しているのだと思うのです。

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