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流動化とコネクトそして交換-Actualized Marketing 詳論その3

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急速に流動化がすすむ社会。個人や企業、市場や業界そのものも流動化し、さまざまな境界線が曖昧になっています。今の時代を切り開くもの、それはコネクトと交換です。

詳論として前回まで3回にわたって、個人が発揮するMobile Value(モバイルバリュー)とその創発により活性化するSocial Value(ソーシャルバリュー)をご説明しました。Mobile ValueとSocial Valueについては、個人と集団、そして企業の内発的な視点から考察しましたが、Actualized Marketingを実践するにあたって、外的な要因である社会現象も把握しておく必要があります。いま社会に明確に現れているのは「流動化」という現象です。

個人の流動化現象

まず、社会を形成する個人における流動化現象を見ていきましょう、最もはっきりしているのは、プロとアマの流動化です。今の日本では国が認定して免許を与えるという職域や高水準の能力や技工の集団が認定選抜するというビジネスを除けば、プロとアマの質的な差は未だあるにしても、明確な境界線はなくなりました。

すでによく知られているのは写真のライセンス提供サイトで有料無料を問わず、写真のプロもアマも関係なく参加しています。音楽や演劇に関しても会社員でありながらライブ活動も行う人は普通に存在しています。これは、必要とする人が認めさえすれば、プロであろうがアマであろうが関係なく、関係性(コネクト)が成立する社会になったということです。

また、国の免許制度である医療にしても、医療関連のサイトやデータベースも数多く存在するので、自分が罹患した病気などは自らリサーチして学習することで、医療機関や医師を選択することができるようになっています。患者自身が切実になればなるほど、疾病に関してもアマチュアとは程遠いレベルの知識を得ることになります。

そして、この論考をお読みの方々の中にも、肩書きや社会での役割を複数お持ちの方がいらっしゃるはずです。会社の中でビジネスを追求したり、あるいは起業をしたりして、経験と知識による価値を獲得した(これこそがMobile Valueなんです)結果、その他の人や企業にその知恵を提供して協業したり、支援したりという活動をされている方がたくさんいらっしゃいます。プロとアマの境界の流動化とともに、個人の生業や社会に貢献できる領域の境界線も流動化しています。

なぜ、このようなことが今起こっているのでしょうか?それはソーシャルメディアが社会に浸透することにより、ソーシャルネットワークが広がり可視化され、コネクトすることが可能になったからに他なりません。ソーシャルメディアがない時代は、プロ級の音楽活動をする会社員の存在もわからなかったし、自分の病気の原因やどのような医療機関や医師がいて、それぞれどのような見解を示しているのか、また、同じ病気を経験している人たちのネットワークなどは簡単に探すことができませんでした。

個人における流動化には、インターネットやソーシャルメディアの実生活における浸透と同時に、情報量の増大によるもうひとつの影響があります。これはインターネットに関して昔からよく言われるような、ヴァーチャルとリアルの境界ということではなく、自己がイメージする内的現実と、他者と社会がつくり出す外的現実との境界線との流動化です。

今までは、自分の身体が行動し知覚できる範囲が自分で認識できる領域でしたが、ソーシャルメディアと本来のE2Eの実現によって、時間と空間と他者との距離感の在り方が変わって来ました。モノに対する概念や感覚もデジタルとアナログの境界も流動化しています。デジタルとアナログに固執しないデジタルネイティブな人たちが存在しているのは、すでにその傾向の現れです。

業界の境界線の流動化

企業を取り巻く業界も境目が曖昧になっています。特にIT関連企業においてはそれが顕著に現れています。Googleは広告会社かSAPかビジネス支援企業のどれでしょうか?IRの資料やバランスシートを見ると広告売上が大半を占めているようですが、すでに始めている事業は多岐にわたっており、将来はエネルギー資源の提供会社になっているのではないかという予測をする人もいます。

Googleだけではなく、Amazonも小売業からクラウドサービスを展開して次は決済ビジネスに向かっています。みずからの企業の価値創造を実現するためには、自社のバリューチェーンにおいて様々なイノベーションを行う必要があり、それを実行し成功すれば、それが資産として外部に提供できるようになる、これが流動化の理由になっています。

ナイキ社はマスメディアでも刺激的なハイクオリティの広告を展開していますが、アップル社とのコラボレーションでも新しい領域の事業を開拓しています。これは両社ともにITに強くかつ得意である企業だということだからではありません。もっと本質的な変化があるからです。ナイキデジタルスポーツ担当副社長のステファン・オーランダーは「これからの企業はどのブランドもソフトウェアカンパニーになる必要がある」と言っています*1。これは、顧客との接点がデジタルになっていることがすべての理由です。

先ほど、個人の流動化でご説明したとおり、顧客である個人は必要なモノやコトは検索して学習することが当然になっています。また、ソーシャルメディアやソーシャルプラットフォームがつくりだすアプリケーションにより商品やサービス、そしてブランドを経験し検証することができます、オーランダーが言うとおりソーシャルメディアやソフトウェアが顧客との接点をつくることがあたり前になっているのです。

メインフレームからクラウドそしてビッグデータへ

このように個人も企業も流動化現象の只中にいます。これはコンピュータシステムの進化がもたらした現象で、今後はもっと大きなインパクトを社会に与える可能性があります。それはビッグデータです、ここでコンピュータシステムの変遷を概観してみましょう。

下記の図のようにコンピュータシステムは大きく4つの時代のプロセスで進化しています。

  IBMメインフレームが登場した1964年からパソコンIBMPCが発売された1981年以降、1990年初めまでがメインフレームの時代。その10年後の2000年までがクライアントサーバの時代。2000年から2010年までがWEBコンピューティングの時代、そして現在がクラウド・コンピューティングの時代です。

コンピュータそのものが革命的なツールですが、1994年Netscape NavigatorのWeb Browserの登場からインターネットが大きな転機をもたらしました。それまでコンピュータはメインフレームの大型でスタンドアロンで処理をしていました。それがパソコンとインターネットによりコンピュータはどうしがネットワークされることになりました。しかし、この時代までは明確に流動化現象は起きておらず、データ管理などのIT技術をバリューチェーンの中に組み込む程度でした。

ティッピングポイントは、2006年のAmazon S3と2008年グーグルアップエンジンによるクラウドサービスの開始と人間が本来持っていた友達関係をソーシャルネットワークとしてWEBメディアで顕在化させたFacebookが登場したこと、ここから革新と流動化がはじまりました。

これからはクラウドサーバーの性能がより高品質で大容量になり、SLA(Service Level Agreement)で稼働率が99.99%実績というクラウドサービス企業も出てきています。例えば、東京都の水道の漏水率が3%だそうで、まったく同じレベルでは語れない部分もありますが、これと比較するとクラウドサーバーはすでに社会の情報インフラになったとも言えます。そしてこれから、ますます進化し高度化していくことになるとビッグデータの波はもはや止めることはできません。

ビッグデータが扱えることは、膨大な量のMobile Valueを認識し把握することができる、そしてそのMobile ValueがSocial Valueとなって指向する市場やそのボリュームも明確になるということです。ここに大きな機会があります、このビッグデータになったMobile ValueとSocial Valueをどのように自らのビジネスに活かすか、それがこれからのマーケティングの最重要課題になりました。

リアリティをささえるもの、それは交換

しかし、情報量が爆発的に増大し、個人や企業の社会環境も流動化が進むと、多様化と複雑化で不安定なことも増えていきます。不確定なことが増える市場において、企業としてより確実なマーケティング活動はどのようなものでしょうか。

人間の能力や行動は、テクノロジーの進化ほどは速くはありません。だからこそ人間の不変なスタイルを誠実に捉えることが大切です。例えていうと、人間は多くの友人や恋人がいるのもいいですが、やっぱりそれよりも大切な愛人。愛する人との特別な交換こそが大きな意味を持ちます。そして、その交換こそがお互いの現実を生み出すもとになります。流動化し不確定な市場の時代こそ、一番大切なことは交換で、マーケティング活動においてもユーザーとの愛を育みコネクトし交換を可能にする仕組みを自らが持つことが最も重要なことになります。

個人対個人、個人対企業はそれぞれお互いに利益を求めつつ交換しながらも関係においては矛盾を持っています。個人は高品質で安いものが良いのですが、企業は高品質ならば高く売りたいものです。愛人も同様に愛し、愛されたいのですが、そのための時間や資産を無駄には使いたくない、だから、その矛盾と葛藤を乗り越えるだけの価値と意味を創造しなければコネクトと交換は成立しません。

フィリップ・コトラーも「交換とはマーケティングの中核となるコンセプトであり、求める製品を他者から手に入れ、お返しに何かを提供することである」と言っています*2。ブランドからお客様に価値提案でお返しできること、交換こそが価値、つまり人生の生きる意味をつくりだすのだと思います。

コネクトと交換こそが事業機会の創造です。そして、ピーター・ドラッカーは「事業とはマーケティングとイノベーションだ」と言っています*3。クラウド化とビッグデータでますます流動化する市場において、Actualized Marketingは独自のメソッドで、新しい現実をつくりだすコネクトと交換を提供することを目指しています。

さて、それではお客様とのコネクトと交換を実現するにはどのようにすればよいのでしょうか?それは、次回の「潜在価値の顕在化」でご説明いたします。

 Connect a Value and Make a Liberty!

*1:「ベロシティ」アジャズ・アーメッド、ステファン・オーランダー共著
*2:「マーケティング・マネジメント 基本編」フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー共著
*3:「マネジメント 基本と原則」ピーター・ドラッカー著

Actualized Marketingの詳細はこちら
  1. ソーシャルメディアプラットフォーム上で潜在的価値を顕在化するActualized Marketingとは何か?その1
  2. ソーシャルメディアプラットフォーム上で潜在的価値を顕在化するActualized Marketingとは何か?その2
  3. これからのマーケティングの最重要キーワードMobileValue(モバイルバリュー)とは?― Actualized Marketing(アクチュアライズドマーケティング) 詳論その1
  4.  SocialValueが社会とマーケティングを変える― Actualized Marketing詳論その2-前編
  5. 未来をひらくSocialValue― Actualized Marketing 詳論その2-後編
  6. 流動化とコネクトそして交換-Actualized Marketing 詳論その3
  7. 潜在価値の顕在化-Actualized Marketing詳論その4
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