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Webマーケティングで起業してしまった男『メイカーズ』

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「あなたもアイデアが浮かんだ瞬間に起業家になれる!そんな時代になったんだよ」と次世代製造業の幕上げを高らかに謳いあげるクリス・アンダーソン。成功のための魔法の杖は3DプリンターそしてWebマーケティングなのだそうです。

世界的ベストセラー『ロングテール』、『フリー』の著者クリス・アンダーソンが最新作『メイカーズ』を日本でも上梓しました。この本のメッセージは表紙の帯にも書いてあるとおり、製造業の未来がここにある!メイカーズとは「これがあったらいいなぁ」というひらめき、それこそがメイカーズになってしまう瞬間、そしてメイカーズを支えるのがデジタル革命とWebマーケティング…だそうです。

ビットの世界とアトムの世界

FacebookやTwitterやDropboxなど、たくさんの企業が起業し成長してきました。これはデジタルとWebの恩恵を受けている、これをビットの世界とクリス・アンダーソンは名付けています。しかし、私たちの現実はデジタルだけではなく、具体的な物、手で触ることができるような物に囲まれて生きていて、この物の世界をアトムと名付けています。

君もいきなりメイカーズ

クリス・アンダーソンは「誰もが起業家だ、思いついたらやればいいだけだ」と言います。なぜならば、すでに環境はすべて揃っているから。必要なものは、インターネットに接続されたパソコンとクレジットカード1枚あればいいだけだと。

まず思いついたアイデアを家庭用の3DのCADソフトでデザインして、完成データを外注の3Dプリンターで出力してもらえばいい。プリントアウトされた瞬間に世界で一つだけの製品が誕生する、ということだ。

なるほど、このブログを書いている私自身もかなり昔から欲しい物がある、それは法隆寺の百済観音フィギュアだ。クリス・アンダーソンが言うとおり、自分で百済観音の画像を取り込んで立体化しデザインをアレンジして、3Dプリンターで出力すれば完成するかもしれない?!そして、それをFacebookのECアプリ「Bazaar EC」で販売すれば私もいきなりメイカーズの仲間入りができるかもしれない?!海洋堂より人気が出ちゃったらどうしよう。

ちなみに3Dプリンターとは立体物を出力してくれるプリンターで日本にも多数同様のサービスがあります。
丸紅情報システムズ株式会社「Dimension」
株式会社アイジェット

第3次産業革命

今までの製造業であるデジタル・マニュファクチャリングとパーソナル・マニュファクチャリングが一体化したときにこそ第3次産業革命が起きるもので、それが今のメイカームーブメントの産業化になっている、とクリス・アンダーソンは説きます。

クリス・アンダーソンの激烈なところはこの著作の中で、メイカーズの理論を実践して自ら起業して成功させてしまったことだ。彼は、レゴのマインドストロームのロボットセットからスタートして最後には自動操縦装置内臓の航空ロボットのメイカーズになってしまったのです。

彼の成功へのプロセスはこうだ。

ソーシャルネットワーク上に自分が製造したい物のコミュニティ「DIYドローンズ」を開設して賛同者を集め、意見を募った。後にこのDIYドローンズが企業になってしまう。

コミュニティの参加メンバーがアイデアを出し合うようになった。この時、クリス・アンダーソンはコミュニティを取りまとめるモデレーターの役割に徹した。

それぞれメンバーは得意の領域でデザイン画やプログラムソースなどデータをアップロードし始めた。自動操縦基盤はプロの企業をWebで調べてアウトソーシングした。

クリス・アンダーソン自身が家内工業で様々なパーツとプログラムを手作業で組み立てて製品を完成させた。初年度の売上は約25万ドル、3年目はなんと300万ドルの売上を超え、今年2012年には500万ドルを超える勢いで今も継続中だそうで、初年度から黒字経営だそうだ。

成功した理由をクリス・アンダーソンは下記のように言っている。
●伝統的な製造業の単純なビジネスモデルとキャッシュフローとWeb企業のマーケティング力と顧客への訴求力を併せ持っていること
●Webマーケティングを基盤として世界市場に展開していること

オープンだから知恵が集まる

クリス・アンダーソンの著作の根底にはオープンという思想があります。「ロングテール」や「フリー」と同様にこの「メイカーズ」にもそれが現れています。

案の定、DIYドローンズのコピー製品が中国から出てきたそうです。コミュニティの仲間の中には訴訟をおこすべきだと言う者もいたそうですが、クリス・アンダーソンは全く気にせず「模倣されることはよいことだ、模倣品のほうが良ければ我々はそれを学んでよりよいものをつくるだけだ、オープンでいいのだ」と言って仲間を説得したそうです。

そうすると面白いことにオープンなスタンスを貫き通すと、中国で模倣品を作っていたエンジニアがDIYドローンズの製品の翻訳業務やプログラムのバグを指摘するなどするうちに、なんとDIYドローンズの正式な開発メンバーになってしまったのです。

クリス・アンダーソンは「誰もがアイデアがあればすぐにでもメイカーズになれるし、Webマーケティングがあるおかけでリスクは殆ど無い、試してみたいアイデアがあれば起業サイトで資本を集めればいい、集まらなければアイデアがダメな証拠だから諦めて次のアイデアを練ればよい。Webのおかげで、無料でマーケットリサーチができるんだよ、何のリスクもない」と言っています。

これらが嘘偽りのない、事実としてこの本に書かれています。Webマーケティングの見事な実践書でありドキュメンタリーでもあります。

そして貴方もメイカーズに

Webマーケティングを実践している人はこの本から多くのことを学べると思います。

まずメイカーズを目指すには、
●Webマーケティングを実践すること
●世界を市場にすること
●コミュニティをしっかり運営すること
ということに付きます。

まあ無名であるよりは、クリス・アンダーソンのように有名著名人のほうが、信用のハードルが低いので同士が集まりやすく、パーソナリティが知られているのでコミュニティが運用しやすくなるのでなお良いかもしれませんね、日頃の行いがいざというときに出るということですね。

この本は物づくりだけではなく、デスクトップ工房、3Dプリンター、CNC装置、レーザーカッター、3Dスキャナー、Webマーケティング全般、コミュニティの運営方法、クリエイティブ・コモンズの考え方、アライアンスの組み方、アウトソーシングの方法、ECや支払い決裁のトレンド、起業仲間の作り方や信頼の獲得の方法、ついでに中国では愛人と会社と家族用の3枚のSIMカードが入る携帯電話が常識など、面白いネタがてんこ盛りです、「フリー」や「ロングテール」を事前に読んでいたほうがよりテーマが鮮明になると思います。

しかし激しく考えさせられたのは、メイカーズになるために一番大切なものがあるということ。それは、誰もが持っていて、なかなか発揮することができないもの、「気概」です。

そう、気概さえあれば、私だって即、百済観音のフィギュアメイカーズになれるのだから!百済観音の著作権だってとうの昔に切れているはずだし、ほらすぐに、やんなきゃ!

でもなぁ…ここが天才と凡人の大きな分かれ目なんですよねぇ。

実行するかしないか、それだけで成功するかしないかが決まります、逡巡よりも実行。昔からそれが人生の本質なのかもしれません。

【書籍データ】
『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』クリス・アンダーソン著
単行本: 320ページ
出版社: NHK出版 (2012/10/23)
言語 日本語
ISBN-10: 4140815760
ISBN-13: 978-4140815762
発売日: 2012/10/23
価格: ¥1,995 (税込)

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