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SocialValueが社会とマーケティングを変える― Actualized Marketing詳論その2-前編

個人が経験や学習そして仕事により獲得したMobileValue(モバイルバリュー)でソーシャルメディアにアクセスし、様々な人や企業と関係性を作ることでより大きな価値が生まれる、それがSocialValue(ソーシャルバリュー)です。SocialValueは、私たちの生活や社会のあり方、そして企業活動に大きく影響します。これからの企業活動は、より多くのMobileValueをコネクトし、良質のSocialValueをいかに創りだすかが大切になってきます。それではSocialValueについてご説明しましょう。

 創発するMobileValue(モバイルバリュー)

SocialValueとはどのようなものかを皆さんにイメージしていただくために、まず、あるお話をご紹介しましょう。このお話の主人公は、皆さんご存知Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏です。彼はハーバード大在学中に美術のクラスを取っていたのですが、期末試験があと一週間に迫ってもまったく準備ができていませんでした。そうです、Facebook設立のために忙殺されていたのです。どうしたものかと思案していた彼は、ある行動に出ます。

美術の試験に出ると分かっている作品群の画像をインターネットからダウンロードして自作のウェブページに掲載し、それぞれの画像の下に書き込み用の空欄を設置しました。そして、スタディガイドを開設するという名目で、クラスメートたちにこのウェブページのアドレスをメールで送ったのです。するとクラスメートたちは仕方なくそのページを訪れ、それぞれの作品に関する知識を空欄に入力し見事な内容に仕上がったそうです。

このウェブページのお陰で、ザッカーバーグ氏は見事に期末試験に合格。しかし、それだけではなく、興味深い現象が起こりました。美術担当教授が「今回の試験は、クラス全員が通常の試験より好成績を収めた」と発表したそうです。なんと、ザッカーバーグ氏が作ったウェブページの影響でクラス全員のレベルが向上したのです*1。

そうです、ザッカーバーグ氏の能力(MobileValue)とクラス各個人の能力(MobileValue)がひとつになったことで、いつもより大きな価値、SocialValueを生み出したのです。

複雑系と呼ばれる科学領域では、このように個々の要素が互いに影響を及ぼしあって全体をつくりあげた時に、個々の合算よりもより大きな数値が生まれることを「創発」と表現しています。そうです、SocialValueはMobileValueの創発現象なのです*2。

通常ビジネスは誰かが勝てば、その分誰かが必ず負ける、というゼロサム競争に例えられますが、そうではなく、個人も企業もすべてがより良くなるというプラスサム競争の可能性を目指すべきでしょう、Actualized Marketingはプラスサムの創発のためのメソッドです。

SocialValueはもう現実に

「でもSocialValueの市場ってどんなの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、SocialValueで既に大きな市場を形成している産業があります、それは雑貨です。

東急ハンズが駅ビルなどに積極的に出店し、新しい商業施設の渋谷ヒカリエは全フロアが雑貨と言って良いくらいに雑貨を中心に構成されています*3。このような大規模ショップで最も人気があるのは、個人が製作している一点物の雑貨で、手作りがほとんどだそうで、ヒカリエなどは5~6坪の小さなショップが多数出店しています。

「その規模のレベルじゃ大した売上ではないでしょう?」と思うかもしれませんが、なんと、昨年から今年にかけて雑貨業界の市場は全体で4,000億円だそうです。4,000億円というと日本国内のカップ麺と同じ規模で数量は35億食。

そして、この雑貨を製作している個人や企業は大手商業施設やセレクトショップで販売するだけではなく、おもにソーシャルメディア(ブログ、SNS,Facebook、Twitterなど)を駆使して営業活動やマーケティングを行なっています*4*5。

いいモノを探したいバイヤーに見つけてもらえるように、製作者がソーシャルメディアやソーシャルネットワークを使ってマーケティング活動を行うのは当たり前になっています。余談ではありますが、このような市場と個人そして進行しつつある変革に意識が向かない、今の政府と経済界と労働組合がこの日本の閉塞感を一手に醸し出しているのだと思うのです。だからこそActualized Marketingで元気を出していきましょう。

なぜMobileValueはSocialValueになりたがるのか

さて、現実に大きな市場を形成しているSocialValueですが、ではなぜMobileValueはSocialValueに収斂していくのでしょうか。それは、古代から人間が進化することによって獲得してきたスタイルそのものなのです。京都大学霊長類研究所所長の松沢哲郎教授はチンパンジーの研究を通じて、人間とはどのような生きものかということを追求されています。

松沢教授の研究はとても示唆に富んでいます*6。

●チンパンジーの母親は4年以上子供に乳を吸われていて、5年間生理周期が戻ってこない。しかし、人間は毎年出産できる生き方を選んだ。

●チンパンジーは樹上生活を選択し、人間は地上での生活を選択した。その結果、人間は毎年出産し赤ん坊を地上にあおむけに置くことで、赤ん坊は周囲の母親や近親者に顔を見られるようになり1対多の関係になった。ちなみにチンパンジーは5年近く母親の乳房にしがみついて離れない、足が物を掴めるような形状になっているのは母親にしがみつくためでもあり1対1の関係である。

●このような状態から人間には、おばあさんという役割が生まれ子育てを協力するようになった。チンパンジーにはおばあさんという役割は存在せず、母親が一人で育てる。

この研究からわかるように、ここに人(人間)が共同体(ソーシャル)な生きものである原型があります。

はるか昔から、赤ん坊はあおむけの状態で母親やおばあさんと笑顔を交換し、サインを送り合いながら育ってきたのです。(しかし、オスはその時は狩りに行っていて存在しない。役割が薄いですねぇ)

また、現代の脳科学の調査では女性の脳は、男性の脳よりも共同体を構築する部分の脳が大きいそうで、並行していくつもの作業がこなせる脳になっているそうです*7。(オスは一点集中型なのでしょうか…)

いま現代にインターネットやソーシャルネットワークが出現したから人間はソーシャルになったのではなく、もともと人間という存在がソーシャルな生きものだったのです。

特に機能的かつ有効なソーシャルプラットフォームが揃いつつある現在は、これから女性が活躍しやすくなり、ますます女性の能力が発揮され必要となってくることも間違いありません。

このようなことから、もともと人間という生きものはソーシャルで個々のMobileValueが集まってSocialValueになるということはとても自然なことなのだということがわかります。

ここで少しだけ予告をしておきますが、この古代における人間の生き方の選択、ということがこのあとActualized Marketingでご説明する「潜在価値の顕在化」というテーマに大きく関わってきます、よろしければ気に留めておいてくださいね。

次回「SocialValue」2-2に続く

Connect a Value and Make a Liberty!

*1「グーグル的思考」ジェフ・ジャービス著

*2「システムの科学 第3版」ハーバート・A・サイモン著、「複雑系の哲学」小林道憲著

*3 Shibuya Hikarie

*4カップ麺市場

*5 東京カワイイTV

*6京都大学霊長類研究所 松沢哲郎教授

*7「人生の科学」ディビッド・ブルックス著、「女性のこころをつかむマーケティング」ブリジッド・ブレナン著

Actualized Marketingの詳細はこちら
  1. ソーシャルメディアプラットフォーム上で潜在的価値を顕在化するActualized Marketingとは何か?その1
  2. ソーシャルメディアプラットフォーム上で潜在的価値を顕在化するActualized Marketingとは何か?その2
  3. これからのマーケティングの最重要キーワードMobileValue(モバイルバリュー)とは?― Actualized Marketing(アクチュアライズドマーケティング) 詳論その1
  4.  SocialValueが社会とマーケティングを変える― Actualized Marketing詳論その2-前編
  5. 未来をひらくSocialValue― Actualized Marketing 詳論その2-後編
  6. 流動化とコネクトそして交換-Actualized Marketing 詳論その3
  7. 潜在価値の顕在化-Actualized Marketing詳論その4

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