ニューロマーケティングとWebマーケティング

マーケティングのトレンドにひとつの動きがあります、それがニューロマーケティング。博報堂が専門の部署を2009年に開設し、大日本印刷も2010年から事業としてソリューションを提供しています。大手企業も商品開発やコマーシャルの事前調査にニューロマーケティングを導入しています、なぜこのような動向が起きているのでしょうか。

ニューロマーケティングとは

現在、既存のマーケティングリサーチによるインタビュー調査などでは、実際に消費者である被験者が言葉で発言していることと行動が違うなど、消費者の正確な意識が把握できていない、ということが言われてきました。

またインターネットによる情報量の増大、数多くのECサイトの開設、多様化する商品などで消費者自身も本当に欲しいものが意識に上がらない、という市場が流動化した状態にあります。

そこで注目されているのがニューロマーケティングです。ニューロマーケティングは、マーケティングに脳科学を取り入れたもので、脳波を利用して人間が言語化できない無意識の領域を顕在化して応用しようというものです。

方法はfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)を装着した被験者に、実際に調査用の商品やコマーシャルを体験してもらい、脳波を測定して好き嫌いの感情を測定します。

大日本印刷のサイトではニューロマーケティングの紹介動画があります。

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DNPニューロマーケティングの詳細はこちら

またニューロマーケティングではないのですが、すでに様々なイベントで使われている「Orbit」や「nekomimi」のように脳波を使った商品も続々登場しており、この一種異様ではありながら現実に起こりうる、という注目を引く現象もこのマーケティングのトレンドに影響しているのではないかと思われます。

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「Orbit」の詳細はこちら

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「nekomimi」の詳細はこちら

なぜ企業は導入するのか

とはいえ現時点でニューロマーケティングは、調査時に頭部に測定機を取り付けるなど被験者にストレスを与える状況であり、また脳波や脳機能がすべて解明されたわけではありません、そのような状況であるにもかかわらず、なぜ企業は導入するのでしょうか?

それは、企業が科学的なマーケティングを指向するからです。科学的であるということは、因果関係が明確であること、観察に伴う理論体系が構築できることです。

ニューロマーケティングにおける因果関係は、見たものや体験したものに対して、好きな場合に反応する脳波と嫌いなときに反応する脳波が異なることで、言葉で表すような「本心は嫌いなのに、好きと発言する」という状態を避ける事ができ、また多数の実験をすることで精度の高い理論を構築できるということにあります。

企業としてはマーケティングの確度を上げたい、失敗を避けたいということから、この科学的な手法と思われるニューロマーケティングを導入しているのでしょう。

Webマーケティングとの関係

もうひとつ、ニューロマーケティングが実践されつつある背景には、インターネットとWebの影響があります。まず、脳科学が発展するためには多くの実験から見出される大量のデータを取り扱うと同時に、多数の研究者も専門領域を超えて共同作業が必要になります。

つまり、知識の情報共有を実現するビッグデータとクラウドシステムというインフラがなければニューロマーケティングは進化しません。

ニューロマーケティングの調査実験から求められた治験データは、Webマーケティングの資産として、つながり、コンテンツ、しくみの構築にそれぞれ反映されることになります。

実際の実験装置の価格が下がってきていることと、豊富な治験データが蓄積され、より正確な理論が構築されるようになれば、これからのWebマーケティングでも、ニューロマーケティングの手法と治験データを使ったサービスが多数出てくるであろうことが予測されます。

買うのは、脳か心か?

さて、人間とはとても不思議なもので、人間自身が人間そのものをまだよく理解できていません。例えば、商品やサービスを買うときは脳が買っているのでしょうか?それとも心が買っているのでしょうか?

脳と心は同じものなのでしょうか?人は「心が痛い」という時には胸に手をあてます、決して頭には手を持って行きません。

そして、科学的に理解するということは、量を測ったり、時間経過による変化と現象を観察しなければなりません。現在の科学ではまだ心が量で測れていません、そして時間の経過によっても心は決して因果関係だけで変化しているとは思えないところがあります。

しかし、GoogleやFacebookは人間の行動や言葉、心の意味やその質までデータ化し情報として利用するための壮大なチャレンジをしています。

たぶん、人間というものが完全に解明され認識されない限り、人類が滅びるまでマーケティングの新しい理論と手法とシステムやプラットフォームが次々とつくられるのだろうと思います。

Webがインフラとなったいま、Webマーケティングに終わりはありません。

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