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新日本プロレスは、ソーシャルメディアを駆使してプロレスファンを「愛しています〜!」

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watabe

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消費者に商品を「伝える」ことから、消費者に「見つけてもらう」、そんなマーケティング活動を3年前から着実に実践している会社がある。 その会社は、キングオブスポーツ 新日本プロレスである。

プロレス中継がTVのゴールデン枠で放映されなくなってきてから、長い年月が過ぎた。勿論、深夜枠やCSで観る事はできるが、ゴールデンタイムの放映がない現状は、一般社会での認知度は著しく低下したことは間違いない。

では「プロレスは死んだのか?」

答えは「否」である。

放送はされなくても、違う形で新しいファンを開拓し、昔と変わらない、いやそれ以上の盛り上がりを見せているのである。
可能にしたのは、どんなに逆風化でも常に最高のパフォーマンスをファンに提供し続ける選手達なのだが、後押ししたのが、TwitterやFacebook等のソーシャルツールの数々である。
今回は、日本のプロレス界最大手「新日本プロレスリング」が、試行錯誤を繰り返しながら実践してきた、「ソーシャルツール・メディアを利用した団体・選手とファンとの親密な関係作り」について、同社コンテンツ事業部阿部猛氏にお話を伺った。

そもそもソーシャルツールへ積極的に利用しようとしたきっかけってなんだったのだろうか?
ー 2009年頃ですか。たまたま自分でTwitterを利用し始めていたというのもありますが、アメリカのレスラー達がTwitterを利用し、情報発信をしていたのを見ていて、なんでウチはやらないのかな?という素朴な疑問を持ったことですね。で、とりあえずスタートした感じです。
スタート時、阿部氏は、社内の説明・説得に、それなりに時間を費やしてきたという。それはそうだろう、TV/専門雑誌・スポーツ紙がプロレスのプロモーションの場としてスタンダードであり、何だか得体が知れないTwitterで何ができるのかと、反対はされないが諸手を上げて賛同を得られる業界ではなかったはずだ。
ー その次に仕掛けたのが、英語版Facebookページですね。2011年にNY大会が開催されることになり、そのプロモーションの一環としてページを立ち上げたところ、いいね数が一気に5,000〜6,000にもなっちゃった!これはすげぇぞと。

社内の風向きも次第に変わり、同ページの日本語ページに変更、そして、新たに英語版ページもスタート。その後は、YouTubeやUSTREAMなどで、試合映像・記者会見などを中心にコンテンツを充実させた。また、新日本プロレスで起きている全体ストーリーも映像化し、現在の映像コンテンツは、相当ボリューム感があり、試合をリアルタイムで観戦できなかったファンには、欠かせないものになっている。

また、最近の日本語版Facebookページでは、ニュースをpostすると、1,000件近い「いいね数」が押してあり、これは、世界最大のプロレス団体「WWE」の日本語版Facebookページと比較すると、約10倍以上の差がでる時があるそうだ。
ただ、あらゆるソーシャルツールを駆使しているわけではない。利用しても、新日本プロレスには合わないものもあった.
ーインスタグラムはダメでしたね。どうしても写真のクオリティチェックをしなくてはいけないので、手間がかかるし、その割には反響が少ない。向かないのかなと。

さて、これらのソーシャルツールを管理する同部署の陣容は5名(部署としては9名が所属)。勿論、専門部署ではなく前述以外の業務の他、選手に関わるあらゆる権利関係の対応を行っているし、会場へも足を運んでいる。
ー 「WWE」はコンテンツの使い方がとにかく上手い。特にタレント(選手)の魅せ方などはとても勉強になっています。ただ、手本といっても、負けたくはないです!

さすが、キングオブスポーツ「新日本プロレスリング」の社員である。

勝負にはこだわるのである!

ちなみに、最近は、所属選手達も、ソーシャルツールへの関心が芽生え始めてきているという。
ー 公序良俗的なことは勿論なのですが、一般企業と違い、ファンとのコミニュケーションという観点が発生します。具体的に言うと、ナンパ的なことはしてはいけないとか、あたり前のことですが(笑)。もちろんそのような事をする選手はいませんが。
ただ、それ以外に関しては、表現の幅を狭めないよう自由にやってもらっています。従って、内容に関する事前チェック等は行いません。
選手達にとっても、自己表現できる場が少なくなっている現状、ソーシャルツールで発言することは、ファン獲得の為の重要なファクターになりつつある。

ここまで、紹介した各ソーシャルツールを利用することにより、ファンとの距離感が十二分に近くなっていることは理解できるが、実際のところ、実収益にどのような影響があるのだろうか?
ー その点に関して言うと、チケット売上・物販とも数値的な目標はもっていないです。それを持ってしまうと、内容がおしつけがましくなってしまい、コンテンツ的に面白くなくなってしまうと思っています。ファンはその辺はとても敏感です。
ただし、正確な効果測定はしていないですがpostした内容によって、大凡の反響は掴めています。注目率の高い試合などはやはり、反響がもの凄い!結果、チケット売上の動向も読む事ができるので、現状それで十分なのです。また、ファンのほとんどがTwitterやFacebookなどを通して、選手・新日本プロレスの情報収集している。そこからwebサイトへ誘導するわけではなく、そこで完結させるようにしています。ファンもそれを望んでいますね。

今後のソーシャルツールを利用していく戦略はどうなのだろうか?
ー 一つめに興行収益的な側面で見ると、国内市場は頭打ちだと感じている。よって、グローバルな展開は必須であり、アジア・ヨーロッパ、そして、本場の米国での展開を行って行きます。特に現状は、北米エリアに注力しており、ネット上のPPVをできれば毎月1回やりたいですね。また英語版公式サイトを開設し、記者会見をはじめ、各種情報をローカライズして提供していきます。この施策はファンの開拓はもとより、海外で興行を行う上で必要不可欠なプロモーター開拓の意味合いも持っていますね。各ソーシャルツールはその役割を大きく担うと考えています。
二つめにファンクラブユーザ−の獲得です。これだけソーシャルユーザーがいるのもかかわらず、ファンクラブユーザーはまだまだ少なく、のびしろがあるはずです。どのような導線を持ってファンクラブに入会してもらえるかを模索中です。

プロレス業界は決して恵まれた状況にある業界でなく、今も決して追い風とは言えない。しかしこのような環境・状況の中、新日本プロレスはいち早く、そして、試行錯誤を繰り返しながら、わずか3年で、ソーシャルメディアを利用した「インバウンドマーケティング」に移行した。この要因は、各ツールの普及という時代の流れもあるのだろうが、根底になるのは、ファンに対する「愛情」ではないだろうか。
普及されたツールをただ使うだけでは「インバウンドマーケティング」は実践されない。自身の顧客となる人々と正面から向き合い、「愛すること」で初めて、スタートラインに立てるのではないか?

新日本プロレスのエース、棚橋選手は試合後、観客に叫んでいる言葉がある。

愛しています〜!と。

取材協力:新日本プロレスリング株式会社 http://www.njpw.co.jp/
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