Facebookが2012年第3四半期の収支報告を発表

10月24日(現地時間10月23日)、Facebookは2012年第3四半期の収支報告を発表した。

先月、月間アクティブユーザー数が10億に達しているし、何よりIPOを果たしたということで、投資家も非常に注目している。

ちなみに、第2四半期の売上高は11億8400万ドルで、前年同期比は32%。純損益が1億5700万ドルだった。

その収支報告について、日経新聞はこのように報じている。

 【シリコンバレー=奥平和行】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックが23日に発表した7~9月期決算は、最終損益が5900万ドル(約47億円)の赤字(前年同期は2億2700万ドルの黒字)だった。売上高は前年同期比32%増の12億6200万ドルと比較的順調に拡大したが、新規株式公開(IPO)に伴う一時的な費用が収益を圧迫した。

 実質1株利益は前年同期と同じ0.12ドルだった。売上高、1株利益ともに市場予想を上回り、23日の米株式市場の時間外取引で株価は一時、同日終値よりも10%近く上昇した。

 9月末時点の利用者数は10億700万人に達し、前年同期に比べて26%増えた。同日の声明でマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「毎月10億人がフェイスブックを使っていることを誇りに思うと同時に、6億人以上が(スマートフォン=高機能携帯電話など)モバイル機器を通じて情報を共有していることをうれしく思う」と述べた。

 主力の広告事業の売上高は前年同期比36%増の10億8600万ドルに拡大したしたが、オンラインゲームなどの課金手数料は同13%増の1億7600万ドルにとどまった。オンラインゲームは同社と関係が深い米ジンガがスマートフォンへの対応の遅れなどから業績が低迷しており、フェイスブックの業績にも影を落としたもようだ。

米フェイスブック、47億円の最終赤字に 7~9月—日本経済新聞

Facebookは赤字を出しつつも、売上高は前年同期比で32%拡大している。

売上高拡大について、Facebookが第3四半期に打ち出したサービスから読み解いていこう。

Facebookがローンチしたサービス

Facebookはプラットフォームを良くするために、日々手を加えている。「いつの間にか新しいサービスが開始していた!」なんていうことも、Facebookにおいては特に珍しいことではない。

その中でも、Techcrunchは下記の5個が売上高を拡大させた要因の1つだと述べている。

  • Facebook Gift
  • Mobile Ad Network
  • App Install Ads
  • Facebook Exchange
  • Sponsored Results

The 5 Big New Ways Facebook Laid The Groundwork For Making Money During Q3 2012—Techcrunch

ひとつずつ詳しく見ていこう。

Facebook Gift

9月27日から始めたサービスだ。これまでFacebookでは誕生日に祝いのメッセージしか送ることができなかったが、Facebook Giftによって、実際のプレゼントを贈ることができるようになった(もちろん、それ以外のめでたい日でも、だ)。もちろん、PCだけではなく、スマートフォンからも利用することができる。Facebookはユーザーのデータ——写真やいいね!など——を解析し、受け取る友人が欲しいものを提示する。生活と密着な関係を持つFacebookだからこそ可能なことだ。まだアメリカでしかローンチされていないが、次の四半期までには多くの国でも利用できるようになるという。

Mobile Ads Network

9月18日に開始。モバイルサイトへ、Facebookに蓄積された膨大なユーザーデータを元に、ターゲッティング広告を出せるようになった。ここで利用されるユーザーデータは年齢、性別、居住地、いいね!など、Facebook広告で標準的に利用されているデータである。Facebookのユーザーデータを利用することで広告主は望んだ条件のユーザーに広告を出すことができるし、Facebookは外部のトラフィックから売上をあげることができるWin-Winなサービスだ。このようなモバイル向けの広告サービスで、Facebookの広告収入の14%がモバイルによるものになったと、Techcrunchは報じている。

Facebookは今日の収支報告で、同社がモバイル広告企業に転身するかという大きな疑問に答えを出した。2012年Q3の全広告売上の14%、約1.5億ドルがモバイルによるものだった。

従来のスポンサー記事に加えて新しい非ソーシャルなアプリインストール広告およびページ広告が、広告主を確保し始めているようだ。この数字は今後もユーザーの変化に合わせて著しく伸びる必要がある。モバイル月間アクティブユーザー数は前年比61%で6.04億人になっている。

収益構造転換中:FacebookのQ3広告収入の14%はモバイルから—Techcrunch

App Install Ads

8月にベータテスト開始、10月17日に一般提供開始。App Install Adsは、同じくユーザーデータを利用し、モバイル端末上にアプリの広告を表示することができる広告サービスだ。iOS端末ならApp Storeの、Android端末ならGoogle Playのアプリダウンロードに開く。この広告サービスのベータテストを行っていたTinyCoでは、既存の広告と比べると、CTRが50%増加し、インストールに至るコンバーション率も増加したという。

In early results, beta partners like Kabam, Fab, TinyCo and Big Fish were able to reach a more relevant audience and efficiently drive installs. For example, TinyCo saw 50% higher CTRs and significantly higher conversion rates compared to their current mobile channels, as well as a significant increase in player engagement.

Drive Installs and Discovery with Mobile App Install Ads

Facebook Exchange

6月にベータテスト開始、9月13日に正式サービス開始。Facebook Exchangeは、ユーザーのウェブ閲覧履歴(Cookie)を参照して、ターゲットがFacebookを訪れたとき、そのユーザーに表示する広告のリアルタイム入札を行うサービスだ。広告主はFacebookと提携したデマンドサイトプラットフォーム(DSP)経由で、Facebook Exchangeを利用することができる。ベータテストを行っていたTriggitによれば、広告のROAは4倍、クリックコンバージョンレートは2.2倍、CPAは6.5倍減の効果があったという。

– 4x higher Click-through ROAS compared to retargeting on the traditional ad exchanges
– 2.2x higher post-click conversion rate
– 6.5x less Cost per click-through order (CPA)
– 18% – 30% lift in FBX conversions when comparing against control test of users

Facebook Exchange: The biggest new channel for large, direct response marketers since paid search

Sponsored Results

8月22日発表。いわゆる検索連動広告だ。ユーザーがアプリや、ページ、場所を検索するとき、オートコンプリート形式で広告主が提供するページを表示する。Facebook内部のページにしかリンクすることはできないため、外部への呼び込みはできないが、アプリやページへの呼び込みで競合と差をつけることができる。英Upcast Socialによれば、通常の50〜70倍のCTRを記録したという。驚異的な数値だ。

Facebook’s  Sponsored Results search ads have up to 50 to 70 times higher clickthrough rates than standard ads on the social network, with “favorable” conversion rates and low costs per click, says social ads company Upcast Social.

Sponsored Results offer high CTR, low CPC and favorable conversions, Upcast says

Facebook Giftの売上高は分からなかったが、広告事業は非常に好調のようだ。売上高拡大は広告が要因だと言って問題ないだろう。

私はこう思う

Facebookが向かう先は、パーソナライズだ。それ以外に目指す先が無いとすら、思っている。

何の根拠もなく言っているのではない。上記の内容からも明確に読み取れる。例えば、Techcrunchが5大と言ったサービスうちに、パーソナライズされているものは4つある。例外はSponsored Resultsだけだ(これは効果が高い広告であるため、金を稼げという株主からの非難は回避できるだろうから、全くの無意味ではない)。

Facebookには膨大なユーザーデータがある。逆に言えば、それしかない。このユーザーデータを生かすには、データを分析し、個人が求めているものを提供するというのが、最も効果的だろう。そうすることでユーザーの満足度は上昇し、広告の効果も上がる。損する人間が誰もいない、まさに最強のプラットフォームとなる——というのは極論かもしれないが、収益に繋がることは疑いないだろう。

Facebookがユーザーデータを使って、今後どのようなサービスを提供してくれるだろうか。このQ4でも、あっと驚くようなサービスを展開してくれるだろう。

個人的には、そのうち、「Siri」や「しゃべってコンシェル」のようなサービスも、提供してくれるんじゃないかと期待している。これまでのユーザーデータが生かせるし、新しいユーザーデータも蓄積するからだ。提案したら作ってくれないだろうか。

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